【営業=オワコン?】そう思えてしかたがない人へのヒント
営業・・・。つらいですよね。デジタル化の進展が進んだ現在、もはや営業は「オワコン」なのでしょうか?実は、超・著名人が答えを出しています。筆者の解釈も加え、考えていきたいと思います。
結論を言うと、営業は「オワコン」ではありません。しかし、過去のものとは大きく役割が変わってきていると言えるでしょう。なぜでしょうか?
【営業 オワコン説の理由?】経営学における超・著名人の言葉から
ドラッカーの考えるマーケティング
営業がオワコン(「終わったコンテンツ」を意味する俗語)であるという説に近いものとして、その著書「経営学の時代」をはじめとして、経営学において超・著名な人物であるピータードラッカーの言葉が挙げられます(※いや、もちろん、ドラッカーが述べた時点で「オワコン」なんて言葉はありませんし、その意図もないでしょう)。
ピーター・ドラッカーは、マーケティングの目的について、 “the aim of marketing is to make selling superfluous” と述べています。
日本語に訳すとすると、以下のようになるでしょう。
ドラッカーの考えるマーケティング
マーケティングの究極の目的は、“セリング(selling)” を不要にすることである。
この定義は、大学時代にマーケティングと出会った筆者が、最初の授業の中で説明されたものであり、いまでもなお忘れられないものでもあります。
ちなみに、大学時代には “superfluous” のところは “unnecessary” と習った記憶があります。分かりやすい表現に代替されたのかも知れません。
「セリング」とは?その変遷
ここで、セリングとは何でしょうか?当時は“営業” とか”売り込み” といった形で教わりました。
世の中に、まだまだ “モノ” が足りない時代は、いわゆる「プロダクトアウト」と言われるように、良い製品を作れば作るほど売れていく、という状況でした。
そして、同じカテゴリの製品を複数の企業が販売するようになったとき、企業は競合他社との競争の中で、“営業” 活動を強化し、”売り込み”を進めるようになりました。
それらを「不要とする」ものであるという定義は、とても斬新に感じられました。
【実際は】私見も含めた現代的な解釈
実際には、ビジネスにおいて、少なくとも “営業” が “不要” になることは、今後もきっとないでしょう。
しかし、顧客への価値提供が(いわゆる人的販売のような)営業活動にのみ依存する状態は、インターネットやデジタルコンテンツによる情報発信、情報収集があたり前となったいま、非効率であると言えることは間違いありません。
顧客自ら、インターネットを通じたさまざまな情報源から情報を集められる時代です。
初めて営業に会う時点で、顧客はほぼ意思決定を進めているといった調査もあります。
このような状況をふまえ、私は「ドラッカーの考えるマーケティング」を以下のように解釈します。
私が解釈する「ドラッカーの考えるマーケティングの目的」
・営業活動を「効率的に」すること。
・そのために、適切なターゲットに対し適切な価値訴求を行い、よりニーズの高い顧客を抽出してさらなる情報提供を進め、そのステータスを営業担当者と共有することで、営業担当者が “受注”により近い顧客に対してのみ営業活動を行えるようにすること。
・結果として、非効率であり不必要な”セリング” を不要にすること。
現実的には、こんなところでしょうか。
【背景を具体的に解説】現代のマーケティング・セールス
ここまでお伝えしてきた考え方は、デジタル時代のマーケティング・セールスにおいて、もっとも重要かつ基本的な定義であると考えています。
それは、以下のような背景があります。
背景①:労働人口の減少
少子高齢化を背景に、年々、労働人口が減少しています。
結果として、営業担当者1人が「セールス活動」のプロセスの多くを担い、負荷が高まっている状況です。
例えば、新規のお客様に対し、紹介・提案から見積書作成、交渉・調整、受注処理、納品、サポートなど、多くのプロセスを営業担当者がこなしているケースがまだ多くみられているかと思います。
背景②:技術進化のスピード加速
AIやIoT、メタバースなど、技術進化のスピードはさらに進化しています。
これらを活用した製品・サービスも増えてきていることでしょう。
結果として、営業担当者が最新の製品・サービス知識すべてを獲得することが困難となってきています。
背景①の状況も伴って、「勉強している時間がない!」という悲鳴はよく聞かれるのではないでしょうか?
背景③:デジタル化の進展
一方で、例えば、Webサイトを通じた資料請求や問い合わせ、名刺交換をしたお客様情報などは電子データ化され、システム上で管理することができるようになってきました。
これらの情報に加え、お客様とのコンタクト情報、会話や商談の履歴なども合わせてシステム上でデジタルに管理することもできるようになっています。
営業プロセスの多くがデジタル化されることで「履歴」が残り、形式知化することで、担当者間での「分業」が可能となりました。
背景④:オンライン化の進展
インターネットや電子タブレットなど技術進化に加え、2020年に突如として猛威を振るった新型コロナウイルスの影響を受け、多くのビジネスシーンでZoomやTeamsなどのオンライン会議を活用することが当たり前となり、営業活動においても大きな変化が生まれました。
全国どこからでもお客様にアクセスすることが可能となり、例えば、新規のお客様についてはセミナー形式なども含めオンライン上でマーケティング担当者が紹介・説明を行う一方で、その中で進捗した商談の複雑な交渉・調整などは「営業」が対面形式で行うなど、これもセールス活動の「分業」を加速させることとなりました。
【結論】デジタル時代の「営業」は、(オワコンなんかじゃなく)マーケティングと「分業」することで効率化される!
以上をふまえて再掲します。とても大事なことなので繰り返します。
再掲:私が解釈する「ドラッカーの考えるマーケティングの目的」
・営業活動を効率的にすること。
・そのために、適切なターゲットに対し適切な価値訴求を行い、よりニーズの高い顧客を抽出してさらなる情報提供を進め、そのステータスを営業担当者と共有することで、営業担当者が “受注”により近い顧客に対してのみ営業活動を行えるようにすること。
・結果として、非効率であり不必要な”セリング” を不要にすること。
キーワードは「分業」です。
ドラッカーの考えたマーケティングを、より実践的に具現化できるようになったのです。
ぜひ、こちらの記事もぜひご参照ください。