これが「キャズム」だ!先輩と学ぶ技術革新のステップ
先輩、お疲れ様です。最近、「キャズム」って言葉をよく聞くんですが、具体的に何のことかよく分からなくて…。教えてもらえますか?
もちろんだよ。キャズムはジェフリー・ムーアが提唱した理論で、新しい技術や製品が市場に普及する過程を説明しているんだ。技術革新がどのように市場に浸透していくかを5つの段階に分けて考えているんだよ。
5つの段階ですか?具体的にどんな段階があるんですか?
うん、それぞれ「イノベーター」、「アーリーアダプター」、「アーリーマジョリティ」、「レイトマジョリティ」、そして「ラガード」だよ。
まず、「イノベーター」は新しい技術をすぐに試したい人たち。
次に「アーリーアダプター」は、イノベーターほどではないけど、新しい技術に興味があって、他の人にも影響を与えるリーダー的存在だね。
それで、次の段階は?
次が「アーリーマジョリティ」。この人たちは、周囲の評価を見てから新しい技術を取り入れる慎重派なんだ。
「レイトマジョリティ」は、さらに慎重で、大多数が使い始めてからじゃないと動かない。
最後の「ラガード」は、伝統を重んじて、新しい技術に対して非常に消極的な人たちだよ。
なるほど。でも、キャズムってどの部分にあるんですか?
キャズムは「アーリーアダプター」と「アーリーマジョリティ」の間にある大きなギャップのことを指しているんだ。
前者までの段階を「初期市場」、後者以降の段階を「メインストリーム市場」と言うよ。そして、この2つの市場に存在するのギャップを超えられないと、新しい技術や製品は大衆市場に広がらないんだよ。
これは超・重要ポイントだから図にしてみよう!
このキャズムを挟んだ市場の顧客特性には、はっきりとした違いがあるんだ。これは本当に大切なポイントだよ!
「初期市場」の顧客は、新技術に積極的でリスクを恐れない革新者であるのに対し、「メインストリーム市場」の顧客は実績と安定性を重視し、慎重に採用するという特性があるんだ。
だから、同じようにビジネスを進めることができない!
なるほど!では、どうやってキャズムを超えるんですか?
そのためには「ニッチ戦略」と「ホールプロダクト」の考え方が重要なんだ。まず、ニッチ戦略について説明するね。
ニッチ戦略ですか?
そう。ニッチ戦略は特定の市場セグメントに焦点を当てて、そのニーズに特化した製品やサービスを提供することなんだ。キャズムを超えるためには、広い市場を狙うよりも、特定のニッチ市場で確実に成功することが大切なんだよ。
なるほど。ニッチ市場で成功することで、そこから広がっていくんですね。
何か具体的な例を教えていただけますか?
具体的な例を挙げると、初期のスマートフォン市場を考えてみよう。
スマートフォンは、最初に特定のニッチ市場、例えばビジネスマンやクリエイティブなプロフェッショナルに焦点を当てて成功したことで、その評判が広がり、徐々に一般消費者にも受け入れられるようになったんだ。
へー、そんな過去があったんですね・・・。
そうなんだ。おじさん世代にはもはや懐かしい過去だよ・・・。
おっと、説明を続けるね。もう一つ重要なのが「ホールプロダクト」だ。これは、単に製品を提供するだけでなく、顧客がその製品を使って問題を解決するために必要なすべての要素を提供することを指しているんだ。
具体的にはどういうことですか?
例えば、新しいスマートフォンを提供する場合、そのスマートフォン自体だけでなく、使い方を説明するマニュアルやサポート、関連するアクセサリーやアプリケーションも含めて提供することが必要なんだ。これによって、アーリーマジョリティに安心感を与えられるんだよ。
なるほど、製品だけでなく、全体のソリューションを提供するってことですね。
その通り。またスマートフォンの場合を思い出してみよう。
最初にスマートフォンを手にしたのは「イノベーター」と「アーリーアダプター」だったよね。彼らは新しい技術に興味があって、使いこなす能力も高かった。
確かにそうですね。でも、そこからどうやってスマートフォンが大衆市場に広がったんでしょうか?
そこで重要なのが「キャズム」を超えるための戦略だよ。
例えば、AppleのiPhoneが成功した理由の一つは、単に革新的なハードウェアを提供するだけでなく、直感的な操作性や豊富なアプリケーション、そして優れたサポート体制を整えたことなんだ。これがホールプロダクトの考え方だね。
そういうことだったんですね。全体の体験を提供することで、慎重な「アーリーマジョリティ」に受け入れられたんですね。
その通り!だいぶ分かってきたね。
はい!すごく勉強になりました!ありがとうございます、先輩。
どういたしまして。いつでも聞いてね!
もっと詳しく知りたければ、「【起業家必読】ジェフリー・ムーアの『キャズム』解説 」を参照してみてね!