【うちは無理!→ 大丈夫です】デジタルマーケティングの全体像
2020年の新型コロナウイルス蔓延をきっかけに、業務のオンライン化が急激に進むとともに、「デジタルマーケティング」への取り組みや重要性も一気に増してきました。その一方で、中小企業では「うちには無理!」「やりたくてもできない」といった声もよく聞こえてきます。確かに難しい面もありますよね…ですが!
私なりの結論は「大丈夫です!むしろ、有益です!」となります。なぜでしょうか?分かりやすく解説していきます。
その【理由】は「デジタル時代のマーケティング・セールスのあり方」にあり
こんなことはありませんか?営業側の悩み
「デジタルマーケティング」について考える前に、直近の営業課題として以下のようなことはないでしょうか?
あとで述べますが、このような課題を解決するために、デジタルマーケティングがあります(組織面など、工夫も必要です)。
【営業の悩み①】人手が足りない
少子高齢化を背景に、年々、労働人口が減少しています。中小企業でも、人材採用は最大の悩みの1つではないでしょうか?
営業現場では、担当者1人が「セールス活動」のプロセスの多くを担い、負荷が高まっている状況かと思います。
例えば、新規のお客様に対し、紹介・提案から見積書作成、交渉・調整、受注処理、納品、サポートなど、多くのプロセスを営業担当者がこなしている、などなど。
「なんで俺が全部やるんだよ・・!」「誰か手伝ってくれ・・」そんな声がいまにも聞こえてきそうです。
【営業の悩み②】製品・サービス知識、業界知識のアップデートが追い付かない
ただでさえ、人手が足りなくて時間がないのに、昨今は技術革新が加速するとともに競争激化が進んでいます。
一方で、SNSなども含めさまざまな情報源から情報入手が可能となっているため、お客様の方でも自ら情報収集を進めることが可能です。
これに対し、営業担当者が十分な専門知識(製品・サービス知識、お客様の業界知識、競合との違い、等)を常に最新化し、拡充していくことが難しくなっていないでしょうか?
【解決します!】デジタル時代のマーケティング・セールスのあり方
デジタル時代のマーケティング・セールスは、一言で言えば「分業制」の時代と言えます。
1人がなんでもやるのではなく、顧客のステータスに応じたスペシャリストが求められる時代とも言えるでしょう。
例えば、いままで「営業担当者」が5名いて、それぞれが皆、同じように営業のすべてのプロセスを担っていたとした場合に、これをプロセス別に担当者を再設定するようなイメージです。
例で言えば、5人のうちの1人がデジタルマーケティングを専門的に担うことで現状のリソースをそのまま活かしながら専門性を急速に高めていくことが期待できます。
スポーツの世界、例えばプロ野球の世界でも、先発ピッチャーは6回まで責任を持ち、7回・8回・9回はそれぞれ1人ずつのリリーフピッチャーを割り当てる「勝利の方程式」という分業制が当たり前となってきました。
小さな会社では、実際には完全に分業できないかもしれません。
しかし、個々人にとって最も重要なミッションを、役割を分けて設定することなどはできるのではないでしょうか?
デジタル時代のマーケティング・セールスの全体像
具体的には、下図のように顧客情報を獲得する段階から商談・成約、さらには受注後のアップセル・クロスセルの段階にいたる一連の流れの中で、大括りのプロセスごとに担当者を設定することで、各担当者の専門性を高め、責任を明確にします。
このことで、営業プロセス全体の効率化を図ることを狙います。
図では考えられる施策の多くを記載しているため、「こんなにやるの?」と思われるかもしれませんが、実際は費用対効果、エネルギー対効果を見極めて、必要な施策をピックアップしていきます。
デジタル時代のマーケティング・セールス全体像
【具体例】デジタルマーケティング・セールスの活動
ここからは、デジタルマーケティング及びこれに続く現代の「セールス」についてご説明します。
デジタルマーケティングの活動例
ここでは新規顧客へのアプローチを想定していますが、【マーケティング担当者】がその入り口でありスタート地点を担うこととなります。それぞれの施策や活動をご説明します。
①Webサイトの活用
いまや何か知りたいこと、解決したい課題がある場合、まずはインターネットで調べるということは当たり前ですね。
SNSを活用することもありますが、情報の網羅性や閲覧性などを考えると、やはりWebサイトは非常に重要な役割を担っています。
いわゆる「ホームページ」のような企業情報サイトもありますが、潜在顧客の課題解決に役立つ情報発信を進めることで、新規顧客との接点を生み出す「オウンドメディア」の制作・運用が重要です。
このオウンドメディアには、自社の発信するSNSも含まれています。
②メール・広告・広報
この3つをまとめることに違和感があるかもしれませんが、これらは一言で言えば「Webサイト(お問い合わせや資料ダウンロードなどを含む)への流入施策」です。
メール施策(メルマガ)の実施にあたっては、メールアドレスをはじめとしたお客様の個人情報をデータ化していつでも利用できるようにしておくことが重要です。
③イベント
イベントは、各種の展示会や個別のセミナー等を指します。
これらを通じて、短期間で多くの新規顧客リスト(見込み顧客リスト)を獲得していきます。
イベント会場などでの対面型の展示会は「デジタルマーケティング」ではないのではないか?という疑問もあるかと思います。
しかし、展示会を実施して終わりではなく、②のように獲得したお客様情報をデジタル化し、メール施策を通じて後続のクローズドなWebセミナー、相談会などに誘導していくなど、前後の施策を継続的に行ううえでは「デジタル化」が欠かせません。
デジタルマーケティングに続くセールス活動
デジタルマーケティングの活動から、大きく分けて2つのタイプの「セールス」へとバトンリレーを行います。
①インサイドセールス
インサイドセールスは、「内勤営業」を指します。
直接、お客様を訪問するのではなく、リモート・オンラインにより時間あたりに集中的なセールス活動を実現します。
マーケティングで得られた見込み顧客リストに対し、メールや電話などを通じて商談の芽がありそうなものをふるいにかける・絞り込む役割を担います。
ここでは主にBANT*の確認などを行います。
<BANTとは?>
B(Budget:予算) ・・・ 導入予算、検討予算はどれくらいか?
A(Authority:決裁権) ・・・ 誰が意思決定者なのか?
N(Need:必要性) ・・・ どの程度の切迫感で必要なのか?その理由や背景は?
T(Timeframe:導入時期)・・・ 導入時期や検討スケジュールはどのような状況か?
②フィールドセールス
さらに、フィールドセールス(外勤営業)へとバトンを渡していくこととなります。
ここまでの段階で、十分に商談の確度が上がっているはずですから、ここからクロージング(成約)に向けて最終的な営業活動を行います。
大切なことを2つ
①デジタルデータのバトンリレー
デジタルの特徴の1つは、「データが蓄積される」という点にあります。
例えば、営業担当者が名刺交換をして得た顧客情報は、デジタル化されることで「顧客データベース」として全社で共有可能な情報となります。
マーケティングや営業活動においても、「顧客情報」「顧客データベース」をデジタル化して高度に活用することが必須の時代となりました。
名刺のような顧客の属性情報だけでなく、その行動履歴情報(Webサイトにアクセスした、資料をダウンロードした、Webセミナーに参加した、等)、ひいては顧客の興味・関心にかかわるさまざまな情報も、Web技術の進展等も背景に蓄積できるようになりました。
これらは、商談化の確度を推測するうえでの重要な情報と言えるでしょう。
これらの情報を基に、「極めて商談化に近い顧客リストを営業担当者に届けること」すなわちバトンをリレーすることが、デジタル時代のマーケティング担当者に求められる最も重要な役割の1つとなっています。
②チームワーク!
そして、最も重要なことは、それぞれの立場・役割において専門性を高めて責任を担う一方で、全体のプロセスを通じた目標や問題意識などをチームとして共有・共通化しながら一丸となって取り組むことにあります。
途中、バトンリレーという言葉を出しましたが、個々の担当者の力量よりも、それを束ねるチームワークの時代です。
目標設定を行う場合などは、その言葉や数値の意味を全員で共通理解とするなど、より一層の相互理解が必要です。
まとめ
今回の内容をざっくりとまとめます。
デジタル時代のマーケティング・セールスとは
デジタル時代においては、営業・マーケティングなどの担当者が「分業」することにより、現状のリソースをそのまま活かしながら専門性を急速に高めていくことが可能であり、必要なことである。